創業6周年の記念日を迎えて

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2017年5月3日。

今朝、何人かのチームメンバーから「おめでとうございます」というメールが届いた。何のことかと一瞬思いを巡らせていたが、思えば今日はクロスフィールズの創業6周年の記念日だった。

過去5回の創業記念日を迎えていわけだが、あまりにも目まぐるしい日々を過ごしていたからか、はたまたゴールデンウィーク中に過ぎ去ってしまうからか、これまで当日にそのことを意識して過ごしたことは一度もなかった。

2011年5月3日。震災の混乱も冷めやらぬ頃、僕は松島由佳とともに、当時広尾にあったJICA地球ひろばの会議室でクロスフィールズの活動を開始した。あれから6年が経った。あっという間だった気もするし、恐ろしく長かった気もするが、間違いなく、これまでの人生の中で最も濃密な時間を過ごした。

創業7年目を迎えるにあたり、いまチームでは新しい中期計画を練り上げている。事業の方向性を大きく発展させ、これまで掲げてきた団体のミッションも改定する予定だ。特にこの2年間は組織体制にも色々な変化があった。卒業して新しい道を進む仲間たちもいれば、新たに経営幹部となって団体の活動にコミットしてくれている仲間もいる。様々な変化を経験しながら、チームとしては確かな成長を実感している。

中期計画の議論のプロセスで、恩師であるETIC.の宮城治男さんに経営幹部3人でアドバイスを聞きに行った。創業以来の僕たちのメチャクチャな旅路を知っている宮城さんは、色々なアドバイスをくださったあと、こんなことをおっしゃった。

「いまこうして3人と未来に向けた話ができていて、それだけで僕は幸せを感じてますよ」

拍子抜けするような言葉でもあったが、まったくその通りだ。松島と2人で始めた挑戦を、いまもこうして松島とともに続けられていることは、奇跡のようなことだ。そして、いまや多くの仲間が集まるチームになっている。その仲間たちとともに、「来年からどんなことをやっていこう」とあーでもないこーでもないと話をできているということは、この上ない幸せじゃないか。

もちろん、いまこの瞬間も「オエッ」と吐きたくなってしまうような課題をいくつも抱えている(笑)。でも、そんな課題に向き合ってでも前に進みたいと思えるだけの情熱やわくわく感が、明確にここにある。その幸せに感謝しながら、これからも感動とワクワク感をエネルギーにしながら、創業7年目の毎日を力強く歩んでいきたいと今日この日に改めて誓いたい。

2017年5月3日
小沼大地

追記;
なお、そんな創業7年目を迎えるクロスフィールズでは、5月15日を募集締切としてチームメンバーを募集しています。これからますます熱い季節を迎えるクロスフィールズに、ぜひジョインしませんか?(5/10には採用説明会もします)
★採用情報
http://crossfields.jp/aboutus/recruit/
★職員インタビュー
http://drive.media/posts/16147

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
    ☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
    ☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位

若い世代の国際協力離れと、この世界の片隅でいま起きていること

最近なんとなく感じていることを、ちょっとだけ書いてみたい。

仕事柄、僕は講演をさせて頂く機会がそれなりにあり、最近は大学生・高校生を対象としたものも多かった。で、その聴衆の数や反応などから、国際情勢や国際協力の分野に対する関心が急速に薄まっているなぁという、そんな危機感を感じている。(まぁ、僕の人気がなかったり、話がつまらないというだけかもしれないけど...)

ちょっと前までは、「こいつは面白いヤツだな」とか「将来デカいことやりそうだなぁ」と思うような学生が国際協力の分野にもすごく多かった。

でも、最近は感度の高そうな学生たちは社会貢献の分野を敬遠していて、テクノロジーやインターネットの分野で新しい産業を起こすことに関心を持っていることが多い気がする。また、社会貢献に関心がある層も、興味を持つキーワードは「地方」「ローカル」「復興」などが多く、国際的な領域に関心のある層は、質・量ともに下降傾向だと思う。

もちろん、テクノロジーや地方に目を向ける若い世代を否定するつもりはない。でも、結果的に国際的な活動に目を向ける若い世代が減ってしまうことには、なんとも言えない怖さを感じている。これからの未来をつくるのは当然ながら若い世代なわけで、そうした世代が世界にも視野を広げられていることは、健全な未来をつくる上で不可欠なことだと僕は思うからだ。

世界に目を向ければ、いまこの瞬間にも、いてもたってもいられなくなるようなことは沢山起きている。

たとえば僕が住んでいたシリアという国では、紛争状態が始まって6年目を迎えている。定期的に連絡を取っている友人によれば、あらゆる状況が悪化を続けている。生活はどんどん苦しくなっていて、日用品を手に入れるのも難しくなっている。石油などは闇市場で平時の10倍以上の値段がついていて、寒い冬を越すのは厳しい状況だ。最近は断水も多く、水は配給に頼るようになっているそうだ。また、男性たちは軍からの突然の徴兵が怖くてなかなか外を出歩けない。そんな最低な状況だ。

2016年、日本では映画『この世界の片隅に』が大ヒットした。広島県の呉市を舞台に、戦争で翻弄される人々の生活の有り様を丁寧に描いた、メッセージ性の強い素晴らしい映画だ。きっと多くの日本人が、映画に涙しながら「やはり戦争は恐ろしい」「日本人もああした暗い過去を持っていて、二度と繰り返してはならない」といった感想を持ったはずだ。

でも、僕があの映画を観て真っ先に想起したのは、シリアで暮らす友人たちのことだ。きっとシリアには、今日この1日を、あの映画に描かれているような壮絶な状況のなかで過ごしている普通の人たちが沢山いる。映画で描かれているのは「日本という国で昔に起きた話」や、「未来にまた起こってしまうかもしれない恐ろしい話」ではなく、「この世界の片隅で、いま現実に起きている話」だと思えてならなかった。

シリアの話は、1つの例でしかない。世界を見渡せば、グローバル化した社会のなかで、今日一日を様々な形で生活を送っている人たちがいる。そうした情景に対して想像力を持つことの人がどれだけいるかが、日本と世界とが、過去に起きた悲劇を繰り返さないためには決定的に大切だと僕は思う。それこそが、急速に内向き化を進める世界に対してあらがう唯一の手段ではないだろうか。

テクノロジーがこれだけ進化しても、残念ながら、世界はちっとも良くなっていない。
「この世界の片隅」にも興味を持ってくれる人が増えて欲しいと、切に思う。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
    ☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
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大いなる危機感と2017年の誓い

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もはや1年の12分の1が過ぎようとしているものの、毎年欠かさず書いていることもあり、恥を偲んで、今更ながら2016年の振り返りと今年の目標を書いてみたいと思う。(年末年始に納得いく文章が書けないまま、ダラダラと時間が過ぎた次第です…)

2016年は、実にいろいろなことが起きた年だった。

愛する広島カープが25年ぶりに優勝して狂喜乱舞してみたり、トランプ大統領の誕生に大きなショックを受けたり。また、個人としては、尊敬していた祖父が亡くなったり、第2子が生まれるという大きな人生での出来事もあった。8月には経営者として1ヵ月間の育休を取るなど、本当に色々なことを経験した年だった。

そして、経営するクロスフィールズについて言えば、2016年は創業5周年を迎えた年だった。

この節目の年に、基幹事業である留職プログラムは導入企業が30社を超え、参加者数は大台である100人を突破した。まだまだ小さな規模だが、創業期は松島とたった2人だった組織は、15人の仲間たちが常勤で働く組織になった。

2016年はメディア露出の多い年でもあった。NHK World「RISING」テレビ東京「ガイアの夜明け」で留職の特集をして頂き、朝日新聞にも一面にデカデカと取り上げて頂いた。ハーバード・ビジネス・レビューでは僭越にも「未来をつくるU-40経営者」の20人にも選んで頂いた。

また、創業ストーリーと事業にかける想いを綴った初めての著書も、3年間以上にわたる構想期間と血の滲むような執筆期間を経て、無事に世に送り出すことができた。そして、嬉しいことに、ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書の年間17位にも選ばれるなど、多くの反響をもらうことができた。

と、こうして書いてみると、いかにも順風満帆に見えるかもしれない。

「大活躍ですね!」
「乗りに乗ってますねー!」

実際、多くの人たちからそんな言葉をかけて頂く。たしかに、外から見ればそう見えるだろうと思うし、実際、事業が加速することを目指して、敢えてそんな風に見えるように体外的なコミュニケーションを図ってきたという面もある。

でも、内実は全然違う。

留職の事業は、いま正念場を迎えている。留職が事業モデルとして成立するということは、曲がりなりにもこの5年間で証明できた。だがコンセプトの真新しさで受けていた時代は終わりを迎え、本質的な価値のあるプログラムなのかどうかが、いままさに問われ始めている。

パートナー企業と派遣先団体からの高い期待値に応え続けていかない限り僕たちの事業は決して続いていかないという、そんな厳しい事実を日々嫌というほど突き付けられている。正直、今年どれくらい事業面での成長が見込めるかは、まだ確信が持てていない。昨年メディア攻勢を仕掛けたのは、そうした危機感の裏返しでもあった。

それに、このまま留職の活動を拡大していけば理想の未来がやってくるかというと、胸を張ってYESと言えない自分たちがいる。無論これまでの活動には大いなる意義があったと思っているが、目指すべき到達点を考えれば、まだまだ自分たちにはやるべきことが沢山あると痛感している。進めば進むほど問題の根深さが分かってきて、ここからの道のりの険しさに目眩がするような感覚だ。

また、2016年は組織面でも潮目が変わった年だった。創業期を支えてくれた4人のメンバーが卒業し、新たに5人のメンバーが組織に加入した。また、内的外的な要因から2回にわたる組織体制の大幅な変更も経験することとなり、組織内のダイナミクスには地殻変動的な変化があった。ここ数年ずっと感じていることではあるものの、この過程では、自分自身のマネジメント能力の限界にも痛いほどに向き合った。

事業面でも組織面でも、まさに正念場を迎えた年だった。なんというか、まるで創業期に戻ったような、この先どうなっていくか分からないという感覚を感じながら、そんななかで何とかして踏み留まったような感覚だ。(大変だった分、人間として一回りくらいは成長できたようにも思うけれど…)


そして迎えた2017年。

クロスフィールズでは、毎年恒例の行事として、働きはじめの日に初詣に行き、絵馬に各自が選んだ漢字を書くというイベントをする。今年は調子に乗ってみんなで書き初めもした。

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僕が選んだ今年の漢字は、「攻」。(ちなみに去年は「変」と「陰」だった)

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事業面でも、組織面でも、現状を否定して新しいことに挑戦し、様々なことを試したい。失敗してでも、前に進む意識を持ちたい。外的要因によって「変わらざるを得ない」というなかで迎える変化では、力が弱い。そうではなく、未来を見据えて、自分たちが起こしたい変化を起こすために、内なる変化を主体的に生み出すというのが、今年やりたいことだ。

事業面では、まずもって、クロスフィールズが掲げるビジョンとミッションを改めて定義し直したい。そして、留職の事業をもう1段階進化させるとともに、「留職のクロスフィールズ」をいい意味で脱却すべく、新たな事業も本格的な展開を始めたい。

組織面でも、いまいるメンバーたちの力を結集して「より良いチーム」をつくるための活動をどんどん仕掛けていきたい。働く仲間たちが成長を実感しながら自律的に動くことができる環境を整備していきたいし、研修その他の長期的な投資にも踏み切りたい。また、クロスフィールズならではの人事制度も色々と考えてみたい。

そんな主体的な変化への挑戦の気持ちを、「攻」という漢字に表現したつもりだ。

2017年の暮れには、「今年は攻めたなぁ」と言える年にすることを、ここに誓いたいと思う。

Cross Fields New Year Kick-Off_v2

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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これからの世界を変える人材になりたいなら、もっと堂々とHになるべき

クリスマスの夜に書いていてちょっと変なテンションのため、どうでもいい下品なタイトルをつけて記事を書いてみることにする。

さて、こちら元ネタは、ハーバード・ビジネス・レビューの2017年1月号に掲載された「境界を超える"H型人材"が、世界を変えていく」というタイトルの入山章栄先生の論文だ。(「世界標準の経営理論」というタイトルのこの連載は毎回示唆に富むが、個人的には、社会学編に入ってからのここ3回の論文は特に参考になる)

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ストラクチャル・ホールという理論をもとに展開された今回の論文では、以下のようなことが力強く論じられていた。

・日本企業が伝統的に好むのは、1つの分野に精通する"I型人材"だった。日本の人材育成の世界では、それをベースとして、「1つの専門性の軸を深く縦方向に持って、後は多様な知見を持つ」という"T型人材"がこれまで注目されてきた。

・しかし、いま日本で大きな活躍をし始めているのは"T型人材"ではなく、「二本以上の縦軸があり、その間を往復している」"H型人材"である。

・異なる業界を跨って専門性を積み、境界を超えて越境するH型人材の代表例には、WiLの伊佐山元氏(日本の大企業文脈とシリコンバレー人脈をつなぐ)や、ヤフーCSOの安宅和人氏(脳神経科学とビジネスの世界とを行き来)がいる。

・これからの社会を動かす人の多くは、間違いなくH型人材になるだろう。



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↑早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生

僕は入山先生の考えに激しく賛同するのだが、同時に、ここ数年は同じような話を別の角度から色々と聞かされているような気もしている。

たとえば数年前のハーバード・ビジネス・レビューに掲載された「トライセクター・リーダーシップ」という論文。企業・行政・NPOという3つのセクターを行き来する人材がこれからの時代をつくるという話で、これはまさにH型人材の話だった。

また、前回の僕のブログ記事で取り上げたリンダ・グラットンの『LIFE SHIFT』でも、寿命100年時代にはこれまで属していない「多様性に富んだ新しいネットワーク」が重要になると指摘されていたが、この考え方もH型人材に通じるものがある。

もはや時代の流れとして、I型・T型からH型へのシフトというのは、当然のことになっているようにすら感じる。実際、日本でも出向やら副業・兼業が徐々に奨励され始めていることや、プロボノ・留職といった概念が話題になっているのも、この流れなのだと思う。

だが一方で、残念ながらこうした考え方はまだまだ日本では一般化はしておらず、ごく一部での周辺的な動きにすぎない。いまも1つの組織で脇目も振らずに成果を出すことがキャリアの王道だと考えられているし、H型人材になるような動きは、まだまだ敬遠されているように感じる。

では、それはいったいなぜなのか。
僕は単純に、H型人材になることが、周囲からの批判にさらされやすいからなんだと思う。

H型の人間になろうとする活動は、I型やT型の人間からすれば、自組織に対する浮気行為だと見なさがちだ。「自分の専門分野で結果も出してないのに、色々と目移りばかりしちゃってさ」という陰口を叩かれるし、活動が明るみに出ると、「あいつは仕事もしないで、好きなことばかりしやがって・・・」といった批判が飛び交うことになる。

伊佐山さんや安宅さんのような圧倒的な結果を出した人であれば別だが、そうなる過程では、目立てば目立つだけ妬みや批判の対象になるわけだ。まさに、「出る杭は打たれる」状況だ。周りを気にせず我が道を行くタイプであったり、周囲の批判があっても跳ね除けるような胆力がないと、なかなかH型人材を志向できない。普通は、やっぱり批判されるのが怖くなってしまう。

そんな中、僕の友人に、大企業のなかでこうした活動の旗振りを狂ったように続けているH型人材の男がいる。

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彼の名は、濱松誠(はままつ・まこと)、通称マック。パナソニックに勤める僕と同い年の34歳だ。いま東京のベンチャー企業に出向中の彼は、5年ほど前に社内の若手有志ネットワークであるOne Panasonicを起ち上げ、ボトムアップで会社を変えようと、パナソニックに社外との接点を積極的に創るなど、様々な動きを仕掛けている。

この動きは日本中に広がりそうした日本全国の社内ネットワークをつなぐOne JAPANという団体も、彼が中心になる形で今年起ち上がった。最近ではメディアも彼の展開する活動には大いに関心を寄せていて、彼自身も先日の日経ビジネスの「次代を創る100人」に選ばれるなど、注目度が一気に高まっている。

あまり内実は良く知らないけれど、これだけ社外で目立てば、当然、社内での妬みや批判も沢山あるんだと思う。僕の周りにも、「One JAPANとかってのができて注目されてるけど、なにをやりたいのか意味分からん」という声をチラホラ耳にするし、出る杭を叩こうとする動きが、盛り上がり始めているんじゃないかと思う。

ただ、きっと彼自身もそうした声があることは百も承知だし、それも分かった上で、あえて自分の役目として目立とうとしているんだと思う。この勇気は相当なものだと思うし、実際、僕はここまでの動きができる大企業勤めの同世代を見たことがない。なにより、彼が組織を飛び出して起業したりせずに(きっといくらでもチャンスはある)、大企業のなかで敢えて挑戦を続けるという姿勢には心から敬意を表したいし、全力で応援をしたい。彼のような存在が更に応援者を増やし、徐々に社内外で市民権を得ていくことで、日本社会においてもH型人材がもっとメインストリームになっていくからだ。

個人的には、彼にはこれからもどんどん暴れまくって欲しい。MITメディアラボ所長の伊藤穰一さん風に言えば、「出過ぎた杭は打たれない」ような気がするので、このまま思い切り目立ち続けることが、実は彼にとっては最大の防御にもなる気もしている。

おそらく、特に大企業の中でH型人材を志向している人には、陰に隠れてコソコソと活動をしている人が多いように思う。でも、彼の活動なんかを見ていると、むしろ大事なのは思い切りのよさだったり、派手さのような気もしてくる。だからぜひ、組織の外で活動をして何かを起こしたいって人は、もっと胸を張って堂々とエッチになるべきだと思うのです!

って、今日はなんだか最後まで、すみません。。。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
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「LIFE SHIFT」を日本で起こすには?NPOからの地味な提言

LIFE SHIFT

いつも新しい視点をくれるリンダ・グラットン氏の最新作「LIFE SHIFT」を読んだ。名著「WORK SHIFT」はインドで読んで大いに刺激を受けたが(その時の記事はコチラ)、今作もたまたま出張中の海外(フィリピン)で読んだせいもあってか、なんだか色々なことを考えさせられた。

かなりいい加減だが、要旨としては、だいたいこんな感じ。

・これから寿命はどんどん長くなる。たとえばいま20歳の人が100歳まで生きる確率は50%を上回るようになっており、私たちはすでに人生100年の時代を生きている。

・人生100年時代では、「教育→仕事→引退」という3ステージを画一的に進んでいくという従来の生き方では対応できなくなる。人生はもっと多様になり、「人生を模索する期間」や、「色々な仕事を掛け持ちして働く期間」などが、年齢とは関係なく入り組む「マルチステージ」の人生へとシフトしていく。

・寿命が長くなると、貯蓄はこれまで以上に蓄えなければならない。また、これまでよりも長い期間働く必要があるため、変化に対応しながら長期にわたってスキルを磨き続ける必要が出てくる。

・これまでは、時間が余ったりしたときや、老後の時間などは「余暇(レクリエーション)」にあてるという人が多かった。だがこれからは、大学で講座を受けたりパートタイムで別の仕事をしたりして自分に投資する、「自己の再創造(リクリエーション)」のために時間を使う人が増えていく。



どんな世代の人にも、どんな仕事をしている人にも示唆的な内容だと思うので、興味を持ったという人は、ぜひ読んでみることをオススメしたい。以下、ざっくりと自分がこの本を読んで考えたことを書いてみる。


そもそも、この本に書いてある世界観にいち早くシフトしなければいけないのは、世界で最も早いスピードで高齢化が進む日本社会だと思う。そうならないと、日本は40年間もの「老後」を生きる人たちに溢れる社会になってしまって、それは社会全体としても、極限に長い「老後」を生きる人にとっても、不幸でしかない。

だが残念ながら、この本に書かれているような「ダイナミックにキャリアチェンジを繰り返しながら生きる」ようになるというLIFE SHIFTが日本で本格的に起きるには、大きな障壁がある。

日本では多くの人が終身雇用的な働き方に慣れきっていて、人生のステージを変えようにも、「いまの企業で働くこと」以外の選択肢を思い浮かべられないケースがほとんどだからだ。定年を迎えて突如会社の名刺がなくなってしまうと、有り余る時間を埋める手段はといえば、近所の公民館で時間を過ごしたり、あるいはゴルフや旅行に明け暮れるくらいになるという人はすごく多いのではないだろうか。

もちろん人それぞれの人生観であり、そのこと自体を否定したいわけではない。だが、社会全体がこうした状況を続けていたら、あまりにも社会としての生産性が低すぎると僕は思うのだ。

企業の側も、大量採用した世代の社員が全員定年まで勤め上げる(つまり、企業として給与を払い続ける)ことの恐ろしさには当然気付いている。仕事柄、僕は企業の人事部の人たちと話したりすことも多いが、「シニア層の従業員の多くには、早い段階で幸せなセカンドキャリアを歩んでもらうのがベスト」と企業側も考え始めているようだ。

だが、日本の真面目なビジネスパーソンたちは「自組織のために最後まで精一杯働くのが美学」という姿勢を頑なに貫いており、その良くも悪くも盲目的な視点がために、なかなかキャリアチェンジは起きにくいというのが現状だ。現時点では、有効な処方箋は見つかっていない。


ここで、NPOの世界に身を置く人間として、ひとつ非常にシンプルな提言がある。

地味ではあるが、ボランティアやプロボノというかたちで社会にかかわる機会をもっと増やしてはどうだろうか?大袈裟だが、これによって日本でもLIFE SHIFTが推進されていくと僕は思うのだ。

NPOの活動に携わることは、「自分の人生にとって何が大事なのか」を普段とは違う視点で考えるキッカケにもなる。また、自分が普段所属している組織の人たちとは全く違うコミュニティの人たちから刺激を受けることもでき、視野やネットワークが広がるからだ。何を隠そう、僕自身も青年海外協力隊というボランティア経験によって人生に対する視野やキャリアの選択肢が大きく開けたという原体験を持っている。

こちらは、総務省が5年おきに行っている社会生活基本調査(平成24年度版)からの抜粋で、男女・世代別でのボランティア活動の参加率をグラフ化したものだ。

ボランティア

勤労世代のボランティア参加率は概ね30%程度という水準だ。よくよく見てみると、30-45歳の女性でボランティアの参画率がグンと上がるのが見て取れる。おそらくは結婚・出産による退職や、子育ての大変な時期が終わるなどのライフステージの変化が影響しているのだろう。一方で男性は比較的どの世代でも低調で、30-45歳での上昇も女性に比べるとなだらかだ。ただ、定年退職を迎える65歳以降では女性を逆転していたりもしている。

個人的には、特に社会との断絶が激しい30~50代のビジネスパーソンには、もっともっとNPOの活動を通じて、会社以外の社会に直接的に触れて欲しい。そうすることで、定年後の自分のキャリアについて考え始める準備にもなるはずだし、もっと違う人生の時間の使い方に気付いて、人生を豊かにする選択をする人が増えるとも思うからだ。

折しも、時代は少しずつ変わり始めている。政府による「働き方改革」の推進や、一部企業による「副業解禁」「週休3日制」などといった流れは、多くの人に会社以外で時間を過ごす働き方を後押ししている。また、ブラック企業の長時間労働に対する批判の高まりは、「いまの会社にすべてを捧げるモデル」からの脱却に向けた追い風だ。

こうした動きでこれから確実に増えていくだろう働く人たちの「自由時間」を、ぜひともNPOの活動に積極的に向けて欲しいと切に思う。同僚と飲みに行ったり、いまの仕事に関する本を読んだりする時間だけにするのではなく、ぜひとも、新しい世界のドアを開けることにも使って欲しいと思う。

国としても、NPOが発行するボランティア証明書に記載された時間に応じて税金を控除する制度を導入するとか、あるいは、長期ボランティアに従事する人向けの助成金や社会保障制度の拡充とかをしてはどうだろうか。また、企業としても、兼業・週休3日制・長期ボランティア制度などを更に推進するとともに、NPOでのボランティア経験を何らかの形で人事考課に組み込んでもいいかもしれない。

いまこそ、長寿社会ニッポンから、世界に先駆けたLIFE SHIFTを起こし始める時だと思うのです。そして、そこに意外とボランティアやプロボノが効くと、僕は強く信じています。嘘だと思った人は、ぜひ自分の目で確かめて下さいませー!

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★ ボランティア情報は実はYahoo!ボランティアが一番充実してます!
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  (サービスグラントSVP東京二枚目の名刺a-conなどが有名な仲介団体です)

以上。
なんだか長くなりましたが、最後まで読んでくださった方には、心から感謝!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

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※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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