ソーシャル・イントラプレナー(企業内社会起業家)とは何か

「ソーシャル・イントラプレナー(企業内社会起業家)」
という言葉を耳にする機会が、最近少しだけ増えている気がする。

なんだか難しい言葉だけれど、これは、社会の課題の解決に
ビジネスを起ち上げることによって挑むという「社会起業家」の役割を、
企業にいながらにして果たしている人たちを指す言葉である。

こう書くと、まるで全く新しい概念のように聞こえるかもしれないが、
要は「起業家精神を発揮して社会課題の解決に挑む企業人」のことだ。

ここまで単純化すると、今度は…

「そもそも企業人ってみんな起業家精神を持ってるもんじゃないの?」
「どの企業も社会の困りごとを解決するためにできたんじゃないの?」

ということで、当たり前すぎて意味のない言葉のようになってしまう。
でも実際、この概念は新しいものなんかではないと僕は思っている。

特に日本企業においては、創業の理念までをたどっていくと、
「社会を良くする」という一点に行き当たる会社がとても多い。
また、起業家精神を持った企業人が沢山いたからこそ、
日本企業はここまで成長できたし、今も力を持っているんだと思う。

では、なぜ今になって「ソーシャル・イントラプレナー」という言葉が
注目を集めるようになっているのか。それは、上に書いたようなことが、
多くの企業で、当たり前ではなくなっているからじゃないだろうか。


今の20代から30代の世代には、「仕事を通じて社会を良くしたい」という
想いを持って会社に入った人たちがすごく多いと感じる。企業の持つ膨大な
リソースを活用して世の中に大きなインパクトを与えたい、そんな希望に
胸を膨らませた同世代の企業人の仲間たちは本当にたくさんいると思う。

しかし、大企業での細分化された仕事や、既成概念に縛られた意思決定とは、
働く人の主体性や全体観、さらには起業家精神を次第に奪ってしまう。

また、消費者や社会との接点が少ないことは、「働くこと」で自分が社会に
貢献しているという実感を奪い、「働くこと」こそが自分の想いを体現する
ことだという認識をどこかに追いやってしまっているように思う。

これによって、「会社で働くこと」に対するイメージは、いつの間にか
『自ら事業を企てること』から『与えられた仕事をこなすこと』となり、
『社会のための行為』から『お金を稼ぐ行為』になってしまうのだ。

もちろん、僕の周りにも、情熱を持って天職だと思って仕事をしている仲間も
沢山あるわけで、これは全ての企業や全ての企業人を指している話ではない。

でも、こうして「ソーシャル・イントラプレナー」という言葉が注目を集めている
背景からは、大企業で働く同世代の仲間たちの悲鳴が、僕には聞こえてくる。


僕が仲間たちと経営するクロスフィールズでは、「留職」プログラムという、
企業人が途上国で本業のスキルを使って社会課題に挑む経験を提供している。

企業人をある種の修羅場に放り出すことで、大企業ではなかなか経験できない
「自ら事業を創ること」や「本業を通して社会に貢献すること」の醍醐味を
象徴的に経験してもらい、その熱を企業に還元してもらうのが「留職」の狙いだ。

ある意味、企業活動や「働くこと」を原点へとち返らせるお手伝いをすることが、
自分たちクロスフィールズという団体がやろうとしていることなのだと思う。


思えば、自分たちの団体のミッション(果たすべき使命)は
「社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーを創ること」だと定義しているけれど、
これも「ソーシャル・イントラプレナー」という言葉を言い換えたような表現かもしれない。

社会に対する価値と組織に対する価値とを重ねあわせて事業を企てることで、
仕事を「会社に仕えること」から「志事(しごと)」だと考えられるような人たちを
増やしていくことに、自分たちはこれからも愚直に取り組んでいきたいと思う。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

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