日本の大組織は若者の情熱と危機感を活かせ

「いまの日本の若者は内向きで元気がない」

そんな声をよく耳にするが、それは違う。現在29歳の私の周りには、日本社会の
行く末に危機感を覚え、未知なる世界に飛び込んで変革を起こしたいと考えている、
前向きで情熱に溢れる同世代の人間たちが数多くいる。

しかし、こうした若者の情熱を活用するどころか、それにすら気付かずに
彼らを既成概念の「枠」に押し込め、情熱を奪ってしまっているのが日本の大組織だ。
結果、組織に入って時間が経つにつれて、若者の目からは徐々に輝きが失われてしまう。

私の経営するNPO法人クロスフィールズでは、「留職」という、
企業の人材を新興国のNPOへと派遣し、そこで数カ月間に渡って本業のスキルを
活かして現地の社会課題解決に挑むプログラムを提供している。

先進国に留まって学ぶという従来型の「留学」に対し、途上国に留まって
実際に職務にあたるのが「留職」だ。今月2月から、電機メーカーのエンジニアの方を、
太陽光を活用した調理器具の開発に取り組むNGOへと派遣する。
(こちらのプロジェクトについて、詳しくはこちら

組織や国境の枠、さらには価値観や既成概念の枠といった、
あらゆる「枠」を超えた挑戦の機会を提供することで、組織で働く人たちが
「社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーになる」
ことのお手伝いをするのが、クロスフィールズのミッションだ。

こうしたNPOと協業した人材育成の取り組みは、日本では
まだ馴染みがないが、欧米企業の間では5年ほど前から活用が始まっている。
たとえばIBMは2008年からこの取り組みを導入しており、
昨年は年間500人の社員を途上国のNPOや行政機関に派遣した。

では、なぜこうした取り組みが欧米で注目を集めているのか。
私は昨年夏に米国を訪問し、様々な企業の担当者に聞いて回った。すると、
どの企業からも「グローバル人材が欲しいからだ」という意外な答えが返ってきた。

しかし、当然ではあるが、ここで言うグローバル人材とは、
TOEICのスコアで一定の基準点を持つ人材を指しているわけではない。

これから多くの企業にとって市場となる新興国では、これまでのような先進国の
やり方を押し付けていく方法は通用せず、その国の文化や価値観を肌感覚で理解し、
現地の人々を巻き込みながら新たな価値を創っていくことが必要となる。

それには、「新興国の社会に深く根を下ろしているNPOに入り込み、現地の人々と
同じ目線で働く経験を社員に積ませるのが一番の近道」というのが、彼らの考え方だ。

私は、日本企業にこそ、こうした人材を育成していくことが求められていると思っている。

日本企業が既存ビジネスの延長線上だけではやっていけないということは、
世界中の誰の目にも明らかだ。瑞瑞しい感性を持った若手が新興国の未知なる
世界へと入り込み、時代を切り拓く変革の種を見つけることなくして、日本の未来はない。

日本が目指すべき未来の姿は、語学学校で英語を勉強するだけでは見えてこないし、
新興国の高級住宅地と市街地にある現地駐在所との往復からも見えてこない。

冒頭にも書いたように、いま日本の若者には強い危機感と情熱がある。

日本の組織に求められているのは、こうした若者の想い・情熱を大事に
育てて花開かせることで、日本の社会の未来と組織の未来を切り拓いていくことだ。


※ この記事は、日本生産性本部発行の生産性新聞の一面に寄稿した文章の原文です

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715
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