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Birthday Donationの結果のご報告と振り返り

7月15日に36歳の誕生日を迎えるにあたって、Birthday Donationという少し変わったチャレンジをした。

そして、、、

かものはし応援_成功

本当にありがたいことに、多くの方に賛同して頂き、20万円以上もの金額かものはしプロジェクトさんの活動資金として寄付できるとともに、僕も東京マラソンに無事出走できることになった。寄付してくださった方、拡散・応援してくださった方には、心から感謝の気持ちで一杯です!本当に、ありがとうございました!!


さて、せっかく珍しい試みをしたということで、簡単にではあるけれど、振り返りのメモも残しておこうと思う。

【今回実施したこととその結果】

・かものはしプロジェクトの担当者の方に相談をして、アクティブチャリティという「約2ヶ月間で20万円以上の寄付をすること」が条件の枠で東京マラソンにエントリーをした(通常のチャリティランナーは10万円の寄付で出走が可能だが、最近は加熱していて、寄付集めのための期間はほんの数日間くらいしかないという状況)

・寄付集めにはpolcaというフレンドレイジング(主に身の回りの人たちに支援者になってファンドレイジングを行うこと)のシステムを利用。Polcaを選んだ理由は、審査なしで手軽にプロジェクトの立ち上げが可能なことと、手数料が一切かからず無料なことから(ただし無料期間は2018年8月で終了するとのこと)。なお、特に目立った寄付の返礼品は用意せず、かものはしプロジェクトさんが実施するイベントの優先参加券のみとした

・結果的には31人もの方から目標額を上回る211,400円の寄付を頂くことができた。このお金は全額がかものはしプロジェクトの活動費として寄付されるとともに、寄付をした人は税控除を受けることもできる

・支援の呼びかけを行ったのは、個人のFacebookで誕生日当日と、残り5万円になったタイミングの計2回。最初の呼びかけから数日間で約8万円(達成率40%)が集まったものの、ここで伸び悩んだ。かなり焦って、その焦りの気持ちも含めて告知開始から2週間くらい経ったタイミングで、人前で話す機会があった際に2度ほど今回のプロジェクトの宣伝をさせてもらった。これが効果的で、初対面の方も含めて5万円強の支援が集まった。そして、残り6万円くらい(達成率70%)になったところでラストスパートの告知を出し、その告知を出した日に一気に達成することができた

【上手くいったこと】

・「誕生日というタイミングでのBirthday Donation」と「東京マラソンのチャリティラン出走」という2つのポイントで訴求をしたこと

・polcaは立ち上げがとても手軽で、思い立ったその日にスタートを切ることができるレベルだった。決済の方法とかも含めて、これだけ気軽に個人がファンドレイジングを行うことができるということが画期的だった

・当たり前なものの、残り6万円になってから「あと少し」という呼びかけをしたことがすごく効いた。やはりクラウドファンディングのような形式では、多くの人がラストスパートでこそ応援してくれるということを実感

・オンラインでの呼びかけだけでなく、リアルな場での訴求が大事。恥ずかしがらずに面と向かって「困ってるから応援して!」と伝えることが大切。(ただ、個人的には1対1だと逃げ道のないお願いになってしまうので気が引けた。1対マスで明るく訴えかけるのがやりやすかった)

【苦戦したこと】

・振り返ってみて、特に初動のところでは思った以上に苦戦をしたという印象。何人かの人に指摘されたが、そもそも「NPOの経営者が他の団体を支援するという構図が分かりにくい」という点が挙げられる。やはり自団体のために挑戦をする方が分かりやすいか。また、やっている側の感覚としても、自団体のことではない宣伝をFacebookでバンバン出すのは本業をないがしろにしている気がして後ろめたさも少しあった印象。。。

・Polcaは手軽な分、使いにくさもあった。達成状況の可視化がいまいちやりにくい点や、支援者の匿名性の高さ(つまりは支援者とコミュニケーションを取りづらい)、また、一度作ってしまうと文言や金額設定に修正が一切できない(僕はタイポが2箇所あって恥ずかしかったけど、結局そのままに…)といった点などで、もどかしさを感じた

・かものはしプロジェクトの方々とも相談して寄付金額は「5,000円~」と設定をしたが、気軽に応援するには高すぎる設定だったような印象もある。何が最適解かは分からないものの、個人的には、もう一度やるなら3,000円くらいに設定するように思う

【やってよかったこと】

・そもそも、普段から応援している団体のことを更に主体的に応援できる機会になったのが嬉しかった(かものはしプロジェクトさんは10年以上サポーター会員をしていたが、なにかもっと貢献できる方法はないかとずっと考えていた)

・事業収入を主な収入源とする事業型NPOの経営者としては、寄付を集めることやクラウドファンディングをすることの大変さが身にしみて分かったのが勉強になった。多くのNPOが日々懸命に行っているファンドレイジングの活動の一端を知れたり、その気持を味わえるということは、かなり貴重な機会ではないかと思う

・さまざまな人から風変わりな挑戦を応援して頂くことができ、改めて、「有り難い」という言葉の本当の意味を痛感させられた。また、特に想定していなかったような友人たちからも支援や心のこもったメッセージをもらうこともでき、そうした人たちとは更に強い繋がりを持つきっかけになった

・通常は個人での挑戦という色合いの濃いマラソン出走という挑戦が、自分だけではなく応援してくださる方々や支援先団体、更には支援先団体の支援する方々のためのチャレンジとなり、マラソンに対するモチベーションが一気に高まる(これは同時にプレッシャーでもあるのですが。。。でも、本当に頑張ります!)

+++

というわけで、超乱雑な感じなものの、振り返りは以上。

まだマラソンは走っていないものの、今回Birthday Donationという挑戦をしたことは、総じてやってよかったと素直に思う。誕生日とか、自然に誰かから「おめでとう」と声をかけてもらえるタイミングで寄付や支援をお願いすることは、もっと広がっていくべき文化なのではと思う。

今回僕はマラソン出走という形で支援のの呼びかけを行ったが、もっと別の形もありえるはず。polcaはじめ、せっかく便利な仕組みが世の中に溢れてきているので、こういう形で、ちょっと工夫したファンドレイジングを個人が誰でも仕掛けられる楽しい時代になってきている。

ぜひ、記念日とかを上手く活用して、多くの人にいろいろな工夫のファンドレイジングに挑戦をしてもらって、日本のNPOの活動をもっと盛り上げてもらいたい。


<今回僕の挑戦に対して寄付をしてくださった方へ>
この度はご支援を頂き、誠にありがとうございました。心から御礼を申し上げます。寄付を頂いた方には「寄付控除のご案内」と「かものはしプロジェクト主催イベントへのご招待」がありますので、ご希望の方は以下URLに必要情報をお書き頂けましたら幸いです。

https://goo.gl/s8goyY


NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位
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テクノロジーで社会課題を解決するために

実はいま、国際協力や社会貢献の分野でのテクノロジーの活用が世界的に話題になっている。たとえば、VRを活用してシリア難民の生活を体感する再現する活動を国連が実施していたり、また、ブロックチェーンを活用した難民キャンプでの食料配給などが行われていたりする。

そんな背景もあり、先日、国際協力NGOセンター(JANIC)の理事として、「国際協力業界でのブロックチェーンの活用」をテーマにした勉強会を主催させてもらった。20人くらいの経験豊富な国際協力NGOのリーダーたちが集まるとともに、そこに株式会社カルミナの安藤翔太さんというテクノロジー分野の専門家をお呼びして意見交換を行うという、日本においてはかなり画期的な企画となった。

プレゼンテーション1
↑株式会社カルミナのウェブサイト


参加者がブロックチェーンについての基礎的な理解を深める有益な機会になったし、ブロックチェーンをどのように国際協力や社会貢献の分野に活用するかについて、大いなる可能性を感じることができた場だったと思う。

個人的には、「ブロックチェーン=仮想通貨」のイメージが強かったものの、この分野においてはブロックチェーンのID認証としての機能が効果的だと知れたことは、目からウロコだった。たとえば、ブロックチェーンにより不特定多数の分散化された集団によって難民の人たちがIDの認証を受けることができれば、それは、これまで国家という権威に存在を認めてもらえなかった人々がその存在を世界に認知されるということを意味する。これはとても夢のある話だと、素直に思った。

もちろん、ブロックチェーンは発展途上の技術であり、実社会での活用はまだまだ始まったばかりという段階だ。これからどのように活用が進んでいくかは、まだまだ不透明な部分も多い。でも、だからこそ、国際協力や社会貢献の業界としては、こうしたテクノロジーの活用に対してアンテナを貼っておく必要があるように思う。

と、ここで一つ疑問がある。

こうした時代背景のなか、NPO/NGOのリーダーたちは、最先端のテクノロジーを必死に勉強して積極的に事業に活用していくべきなのだろうか。

僕の答えは、いまのところNOだ。

なぜなら、それには莫大な時間がかかるし、非効率だと感じるからだ。むしろ、テクノロジーに精通した人材、特にテック系のスタートアップ企業を率いる起業家の方々に、国際協力や社会課題解決の世界に入ってきてもらうほうが圧倒的に近道だと考える。

幸いにして、同世代のスタートアップの経営者たちと話をしていると、その目線の先には、自分たちのサービスやプロダクトを使っていかに金儲けをするかではなく、むしろ「いかに社会を変えられるか」が目指されている。つまり、スタートアップの経営者と、国際協力や社会貢献のリーダーたちの世界観は近づいているのだ。

だからこそ、NPO/NGOの業界としていま重要なのは、自分たちでゼロからテクノロジーを勉強していくことよりも、もっともっとスタートアップ界隈の経営者の方々と仲良くなって、彼ら/彼女たちを社会課題の世界に引き込んでいくことじゃないだろうか。

たとえば、スタートアップ企業の優秀なエンジニアの方々向けに途上国の農村でハッカソンを開催したり、あるいは、スタートアップの経営者がNPO/NGOのリーダーたちとが特定の社会課題の解決に向けたディスカッションの場を設けるなど、打ち手は無限にある。これからは、そんな活動が求められていくんではなかろうか。

…というわけで、スタートアップ界隈の友人の方々、僕が急にわけのわからない話をし始めるかもしれないことを、どうかお許しください!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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G1サミット@沖縄での学び

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この3連休は沖縄で行われたG1サミットに参加。各界のリーダーの方々300人以上と、様々なトピックで議論して脳みそに大汗をかいた。参加したアクアスロン(写真)では信じられないほど身体を追い込むことになったものの、チームの順位は見事に2位!充実した時間でした。

改めて、この素晴らしい機会に心から感謝するとともに、備忘録までに、僕なりの学びと気づきを5点に絞ってメモ。

【1. 第4次産業革命と中央集権国家】
第4次産業革命の時代、テクノロジー活用の局面が変わっている。特にビッグデータは中央集権的な国家と相性が良く、中国はますます台頭している。一方、マイナンバーの活用ひとつ取っても、日本は国を挙げて何かやろうとはなりにくい。自由主義経済が、独裁主義をベースにした資本主義に押されているという時代背景

【2. ソフトからハードへのシフト】
自動運転にしろIoTのセンサーにしろ、いまはハードに価値が置かれる時代になっている。インターネットの世界に閉じたイノベーションには限界が来ているのでは?これまでは大企業がベンチャーに助けを求めてオープンイノベーションを起こしていこうという流れがあったが、むしろ逆の流れが加速していく可能性あり。技術やテクノロジーを持つベンチャーが、ハードのリソースを持つ大企業にアプローチして相互補完しながらイノベーションを起こしていく時代になるかも

【3. 政治の争点と憲法改正】
とにかく社会保障改革に切り込むのが大切。一方、外交と国防も、中国の台頭と北朝鮮の脅威の高まりを背景に、ますます重要性が高まっている。この国は憲法改正の議論にこれまで正面から向き合ってこなかったが、一人一人が思考を停止せずに自分の頭で考えて自身の意見を持つ必要がある。そのことがこの国と世界の平和を考える上でも大切。(このエリアでの自分の不勉強さや、考え切っていなかった怠慢を個人的には痛感)

【4. 異論の重要性とNPOの役割】
異論が挟まれないで物事が決まっていくことは本当に危険。でないと本質的な答えはあぶり出されない。Diversity&Inclusionが叫ばれるが、多様性の意義は議論の精度を高めることにある。そして、これからの社会の方向性を決めるような議論が数々あるいま、NPOセクターの役割とは、マイノリティや弱い立場の人々の声を代弁し、多数派の議論に対して異論を唱えて議論を深めることにある。ここの分野で、自分としてはもっと価値を発揮していきたい

【5. 言葉へのこだわり】
最後に、これは毎回感じることだけど、政治家をはじめとした社会を動かすリーダーたちは、本当に喋りが上手い。今回は小泉進次郎さんも来ていたが、彼が「言葉に体温と体重を乗せるようにしている」とか、「一期一会ではなく、一期一語一会といってもいいくらい、一語に対する情熱と執着を考えている。特に出だしの掴みの見極め(フワッといくかトップギアでいくか)に全てをかけ、人を惹きつけようと努力している」とか、「自分の話し方と立ち振る舞いを改善するために、自分の演説をビデオに取って恥ずかしい自分に向き合っている」とか語っているところに、政治家としてのプロフェッショナリズムを感じた

というわけで、この刺激を生かして明日からも頑張ります!!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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役割を演じることで、わかりあう ~1日保育士をやってみて~

先週、仕事を1日休んで娘の保育園で「1日保育士」なるものを体験した。

これは、保育園に通う子どもたちのパパやママが1日だけ保育士になって子どもたちと時間を過ごすというもの。子どもたちと公園に行ったり、紙芝居を読んだり、寝かしつけをしたり、一緒に食事をしながら「見習い保育士」として1日を過ごす。

子どもたちのパワーに圧倒されて疲労はかなりのものだったけれど、最高に楽しくて幸せな時間だった。でも、何より意義深かったのは、保育園の子どもたちが普段どんな風に過ごしているのか、また、保育園という場所がどのように運営されているのかを体感できたことだった。

たとえば、保育士さんたちの仕事の幅広さには本当に驚かされた。今回僕が体験したのは業務のほんの一部だけれど、それでも、数十人の子どもたちを連れて外を散歩するときの神経の使い方や、子どもが体調を崩したときに求められる迅速な危機対応などなど、僕が想像もしていなかったような数々の大変さが、そこにはあった。

この保育園に娘を通わせて3年以上になるわけだけど、保育園について知らないことだらけだったと思い知らされた。


わかりあえないことから

ちょっと話は変わるけれど、年末年始に読んで面白かった本に、平田オリザさんの『わかりあえないことから (講談社現代新書)』がある。(Sow Experienceの西村琢さんから「大地が好きそうな本を見つけたから、ぜひ読むように」と勧められたのだけど、名著でした。感謝!)

少し時間が経っているので正確ではないかもしれないが、『共感とは、互いにわかりあえないことを前提に、それでもわかりあえる部分をけんめいに探っていく営みである』というようなことが書いてあった。

そして、平田さんは演劇を学校教育に組み込むことで、互いの立場を分かりあうコミュニケーションの大切さを子どもたちに伝えているのだという。普段とは違う役割を演じ合うことで相手の立場をわかりあおうとする共感力がつくというのが、平田さんの考え方だ。

たとえば今回僕が「保育士」という役割を少し演じたことでも、あきらかに保育士さんたちとわかりあおうとする姿勢は増したと思う。無論たった1日だけで保育士さんの仕事を理解したなどというつもりはないけれど、それでも、僕はこれから先、保育士さんに対して軽率な不平・不満をこぼすことは二度とないような気がする。

だからというわけではないけれど、「役割を演じることで共感力を高める」という平田さんの考え方に僕はすごく共感する。

平田オリザさん
↑平田オリザさん

そして、もっと言えば、「共感力」を高めて他の誰かとわかりあおうとすることの重要性が今ほど高まっている時代はないんじゃないかと僕は思う。

残念なことに、いまの社会は、あらゆる意味で「分断の時代」を迎えてしまっている。

資本主義経済の恩恵にあずかる者と、それによって搾取される者。
権力のある中央にいる者と、辺境に身を置いている者。
ポピュリズムに熱狂する者と、それを批判する者。
あるいは、サービスを提供する者と、それをただ受容する者。

ありとあらゆるところに「わかりあえない主体者たち」がいて、それが積み重なって、社会の分断が限界を迎えているように感じる。そんな時代において、大袈裟かもしれないけれど、互いの役割を演じ合ってわかりあおうとすることにこそ、この社会の分断を食い止める力があるように僕には思える。

僕たちクロスフィールズが7年間取り組んでいる留職というプログラムも、ある意味では「役割を演じる」活動だ。日本の大企業で働く人たちに、発展途上国での社会課題の解決に取り組むNPOの職員という役割を演じてもらっている。これによって、自分とは全く違う立場の人たちがどのような想いでどんな仕事をしているのか、そのことに国籍やセクターを超えて想像力を働かせてもらえるようになってほしいというのが、このプログラムにかける想いだ。

当たり前だけど、誰かの役割を演じるために、必ずしも留職のような大きな仕掛けが必要なわけではない。

幼稚園や学校のPTAで役職を担うことや、NPOやNGOの活動にボランティアとして参加してみることでもいい。あるいは、僕がやったような「1日保育士」というのもけっこオススメだ。どんなに小さなことでもいいから、誰かの役割を演じて違う世界を見ることで、きっと物事の捉え方は少しずつ変わっていくはずだ。

もちろん、演じることですべてわかるなんてことはないし、平田さんも書いているように、人と人なんてどうせわかりあえない。でも、それでも諦めずに少しでも誰かのことをわかりあおうとする努力を続けていけば、社会の分断という状況も少しずつ変わっていくと僕は信じたい。

・・・と、徒然なるままに書いたものの、要するに、「あー1日保育士やってよかったー」ということです。

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小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
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もう世界は辺境から変わっている

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先週は日本企業のエグゼクティブの皆さんと一緒にインドを訪れ、ムンバイとバンガロールを1週間かけて回ってきた。

社会的企業(社会課題を解決するというミッションを持った企業)を中心に、7団体とのディスカッションを行うとともに、スラム・農村・ゴミ収集場などといった現場を訪問してきた。プログラムとしての成果はまた別途報告するとして、今回のインド滞在で僕がつかんだ感覚を記憶が新しいうちに書き留めておきたい。

7年前の本が描いた景色が、現実のものに

辺境から世界を変える

個人的にも親交のある加藤徹生さんが2011年に書かれた『辺境から世界を変える』(ダイヤモンド社)という名著がある。発展途上国の辺境地域から、社会課題に当事者性を持つ起業家たちがこれから世界を変えていくであろうというメッセージが、事例とともに力強く紹介されている。

7年前にこの本を読んだ時には、その斬新な世の中の切り取り方に興奮を覚えながらも、「たしかにそうなっていく可能性もあるかもな」という程度の感覚だったことを覚えている。

あれから7年。今回一気にインドで7団体と対話をするという貴重な経験をしてみて、あの本が示唆していた未来はすでにやってきていて、「もう世界は辺境から変わっている」ということを実感したというのが、今回の訪問での一番の感想だ。

遠隔診療がインド農村部の医療サービスを革新

今回訪問したすべての団体を紹介することはできないが、たとえばNeurosynaptic社。医療へのアクセスが難しい地域に住む人たちに対し、テクノロジーを駆使した遠隔診療で適正な医療を提供することに2002年から取り組んでいる社会的企業だ。

これまでに2,200人のヘルスワーカー(医師ではない)を組織し、辺境地域に住む5,000万人もの人たちに対して遠隔での医療サービスを提供してきている。ヘルスワーカーが携帯する専門キットには35種類の診断ツールが入っており、24種類もの診断行為が可能だ。

これによって、村落部に住む人たちはわざわざ遠い病院に行かなくても質の高い医療が受けられる。それだけでなく、病院の側にとっても高い投資をして分院を出さなくても幅広い人々に対して医療サービスを提供できる。また、診療データはすべてクラウド上に蓄積されて分析することができるので、病院としてそのデータを活用して更に医療の質を高めることが可能だ。

ちなみに今回はデモも体験させてもらったが、患者の心音や心拍数をリアルタイムで確認することができるなど、まるでSFの世界にいるかのような気分になるほどだった。

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↑CEOのSameer氏が実演した肺活量検査の様子。遠隔でリアルタイムにスマホにグラフが表示される


やはり驚くべきなのは、この最先端のテクノロジーを活用したサービスが、インド人の起業家の手により、インド農村部の人たちに幅広く届けられているという事実だろう。今回一緒に訪問した日本企業のエグゼクティブたちも、彼らの取り組む事業のあまりの先進性に、何度も感嘆の声が漏れてくるほどだった。

僕自身はあまりこの分野に専門性があるわけではないが、これから更に高齢化が進んで医療アクセスの困難さが社会課題となる日本でも、Neurosynaptic社が提供するような技術は必要とされてくるはずだ。莫大なニーズがあり、また規制も日本ほどに強くはない発展途上国の「辺境」から生まれたイノベーションが、日本の社会課題を解決するようになる日はきっと遠くないはずだ。

第4次産業革命が発展途上国の現場に味方している

2011年の創業以来、クロスフィールズはアジア各国の社会的企業とさまざまな協働をさせてもらっているが、特にここ数年のインドの社会的企業の発展は目覚ましいものがある。

今回はNeurosynaptic社の他にも、さまざまな起業家がイノベーションを起しつつある現場に足を運んできた。IoTを駆使して乳業分野に革命を起している社会的企業や、ゴミ処理からクリーンエネルギーを生み出そうとしている社会的企業など、どれも驚かされるものばかりだ。

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↑IoTのウェアラブルデバイスが付いた牛は、いつ妊娠して搾乳が可能になるかクラウド上で管理できる

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↑スラム地域や集合住宅のゴミ捨て場で、その場でバイオガスを発生させている


共通していたのは、まだ日本ほどビジネス上の仕組みやインフラがしっかりとしていないところに、部分的に最先端のテクノロジーが組み込まれていることだ。そして、そこから産業構造や社会構造を変えるような大きな変革が生み出されつつある。

完全に私見だが、やはり第4次産業革命なるものが、この急速な変化の土台にあるように思う。

IoTやAIといった第4次産業革命時代のテクノロジーには、大規模な設備投資を必要としないという側面がある。つまり、発展途上国の辺境の起業家たちにも、最先端の技術を活用するチャンスが一気にめぐってきていると考えられないだろうか。

インドのモディ首相はそのことをすごく分かっていて、様々な政策を通じて社会的企業が各地でイノベーションを起こすための手助けをしている。多くの起業家たちが政府の後押しを受けながら、辺境の地で最先端のテクノロジーを活用して社会課題を次々と解決しようとしているのだ。

整いつつある、社会課題をビジネスにするエコシステム

そして、もう1つ。こうした社会課題解決のエコシステムが出来上がりつつあるということも大きい。

今回訪問させてもらったAavishkaarは、社会的企業に特化して投資を行うベンチャーキャピタルだ。既に300億円規模のファンドを集め、20社以上のエグジットに成功しており、利回りも脅威の122%を誇っているという。僕が6年前に訪れたときには全くこんな規模ではなかったが、もはや社会課題を解決するという行為自体が、インドでは産業として成り立ってきているということだろう。

また、ムンバイにあるTata Institute of Social Sciencesでは社会起業家に特化した修士号のコースが開設されるなど、この分野での人材育成も一気に進みつつある。こうした動きに政府による後押しも加わって、社会課題解決型のビジネスが生まれて育っていく仕組みが一気に整備されてきているのだ。

辺境からこそイノベーションが生まれる時代に

イノベーションとは、研究開発の拠点を持つ先進国で生まれるものであり、途上国ではその廉価版のサービスや製品が広がっていくというのが、これまでの世界の流れだった。

でも、これからその流れは徐々に、でも確実に逆転していくように思う。

さまざまなインフラが整っておらず、明確な社会的ニーズがある辺境地域においてこそ、第4次産業革命時代のテクノロジーは威力を発揮する。そして、そんな「辺境」からこそ、イノベーションが生まれていくのだ。

発展途上国や農村部といった今日的な「辺境」が世界の中心となり、先進国や都市部といった地域こそが「辺境」になっていくような未来の世界が、もうそこまで来ている。


発展途上国の社会的企業と日本企業をつなぐ役割を持つクロスフィールズは、これからの時代にいったいどんな価値を発揮できるのか。そのことを、これからゆっくりと考えていきたい。(とはいえゆっくりもしていられない気がするけれど…)

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
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