G1サミット@沖縄での学び

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この3連休は沖縄で行われたG1サミットに参加。各界のリーダーの方々300人以上と、様々なトピックで議論して脳みそに大汗をかいた。参加したアクアスロン(写真)では信じられないほど身体を追い込むことになったものの、チームの順位は見事に2位!充実した時間でした。

改めて、この素晴らしい機会に心から感謝するとともに、備忘録までに、僕なりの学びと気づきを5点に絞ってメモ。

【1. 第4次産業革命と中央集権国家】
第4次産業革命の時代、テクノロジー活用の局面が変わっている。特にビッグデータは中央集権的な国家と相性が良く、中国はますます台頭している。一方、マイナンバーの活用ひとつ取っても、日本は国を挙げて何かやろうとはなりにくい。自由主義経済が、独裁主義をベースにした資本主義に押されているという時代背景

【2. ソフトからハードへのシフト】
自動運転にしろIoTのセンサーにしろ、いまはハードに価値が置かれる時代になっている。インターネットの世界に閉じたイノベーションには限界が来ているのでは?これまでは大企業がベンチャーに助けを求めてオープンイノベーションを起こしていこうという流れがあったが、むしろ逆の流れが加速していく可能性あり。技術やテクノロジーを持つベンチャーが、ハードのリソースを持つ大企業にアプローチして相互補完しながらイノベーションを起こしていく時代になるかも

【3. 政治の争点と憲法改正】
とにかく社会保障改革に切り込むのが大切。一方、外交と国防も、中国の台頭と北朝鮮の脅威の高まりを背景に、ますます重要性が高まっている。この国は憲法改正の議論にこれまで正面から向き合ってこなかったが、一人一人が思考を停止せずに自分の頭で考えて自身の意見を持つ必要がある。そのことがこの国と世界の平和を考える上でも大切。(このエリアでの自分の不勉強さや、考え切っていなかった怠慢を個人的には痛感)

【4. 異論の重要性とNPOの役割】
異論が挟まれないで物事が決まっていくことは本当に危険。でないと本質的な答えはあぶり出されない。Diversity&Inclusionが叫ばれるが、多様性の意義は議論の精度を高めることにある。そして、これからの社会の方向性を決めるような議論が数々あるいま、NPOセクターの役割とは、マイノリティや弱い立場の人々の声を代弁し、多数派の議論に対して異論を唱えて議論を深めることにある。ここの分野で、自分としてはもっと価値を発揮していきたい

【5. 言葉へのこだわり】
最後に、これは毎回感じることだけど、政治家をはじめとした社会を動かすリーダーたちは、本当に喋りが上手い。今回は小泉進次郎さんも来ていたが、彼が「言葉に体温と体重を乗せるようにしている」とか、「一期一会ではなく、一期一語一会といってもいいくらい、一語に対する情熱と執着を考えている。特に出だしの掴みの見極め(フワッといくかトップギアでいくか)に全てをかけ、人を惹きつけようと努力している」とか、「自分の話し方と立ち振る舞いを改善するために、自分の演説をビデオに取って恥ずかしい自分に向き合っている」とか語っているところに、政治家としてのプロフェッショナリズムを感じた

というわけで、この刺激を生かして明日からも頑張ります!!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715
※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位

役割を演じることで、わかりあう ~1日保育士をやってみて~

先週、仕事を1日休んで娘の保育園で「1日保育士」なるものを体験した。

これは、保育園に通う子どもたちのパパやママが1日だけ保育士になって子どもたちと時間を過ごすというもの。子どもたちと公園に行ったり、紙芝居を読んだり、寝かしつけをしたり、一緒に食事をしながら「見習い保育士」として1日を過ごす。

子どもたちのパワーに圧倒されて疲労はかなりのものだったけれど、最高に楽しくて幸せな時間だった。でも、何より意義深かったのは、保育園の子どもたちが普段どんな風に過ごしているのか、また、保育園という場所がどのように運営されているのかを体感できたことだった。

たとえば、保育士さんたちの仕事の幅広さには本当に驚かされた。今回僕が体験したのは業務のほんの一部だけれど、それでも、数十人の子どもたちを連れて外を散歩するときの神経の使い方や、子どもが体調を崩したときに求められる迅速な危機対応などなど、僕が想像もしていなかったような数々の大変さが、そこにはあった。

この保育園に娘を通わせて3年以上になるわけだけど、保育園について知らないことだらけだったと思い知らされた。


わかりあえないことから

ちょっと話は変わるけれど、年末年始に読んで面白かった本に、平田オリザさんの『わかりあえないことから (講談社現代新書)』がある。(Sow Experienceの西村琢さんから「大地が好きそうな本を見つけたから、ぜひ読むように」と勧められたのだけど、名著でした。感謝!)

少し時間が経っているので正確ではないかもしれないが、『共感とは、互いにわかりあえないことを前提に、それでもわかりあえる部分をけんめいに探っていく営みである』というようなことが書いてあった。

そして、平田さんは演劇を学校教育に組み込むことで、互いの立場を分かりあうコミュニケーションの大切さを子どもたちに伝えているのだという。普段とは違う役割を演じ合うことで相手の立場をわかりあおうとする共感力がつくというのが、平田さんの考え方だ。

たとえば今回僕が「保育士」という役割を少し演じたことでも、あきらかに保育士さんたちとわかりあおうとする姿勢は増したと思う。無論たった1日だけで保育士さんの仕事を理解したなどというつもりはないけれど、それでも、僕はこれから先、保育士さんに対して軽率な不平・不満をこぼすことは二度とないような気がする。

だからというわけではないけれど、「役割を演じることで共感力を高める」という平田さんの考え方に僕はすごく共感する。

平田オリザさん
↑平田オリザさん

そして、もっと言えば、「共感力」を高めて他の誰かとわかりあおうとすることの重要性が今ほど高まっている時代はないんじゃないかと僕は思う。

残念なことに、いまの社会は、あらゆる意味で「分断の時代」を迎えてしまっている。

資本主義経済の恩恵にあずかる者と、それによって搾取される者。
権力のある中央にいる者と、辺境に身を置いている者。
ポピュリズムに熱狂する者と、それを批判する者。
あるいは、サービスを提供する者と、それをただ受容する者。

ありとあらゆるところに「わかりあえない主体者たち」がいて、それが積み重なって、社会の分断が限界を迎えているように感じる。そんな時代において、大袈裟かもしれないけれど、互いの役割を演じ合ってわかりあおうとすることにこそ、この社会の分断を食い止める力があるように僕には思える。

僕たちクロスフィールズが7年間取り組んでいる留職というプログラムも、ある意味では「役割を演じる」活動だ。日本の大企業で働く人たちに、発展途上国での社会課題の解決に取り組むNPOの職員という役割を演じてもらっている。これによって、自分とは全く違う立場の人たちがどのような想いでどんな仕事をしているのか、そのことに国籍やセクターを超えて想像力を働かせてもらえるようになってほしいというのが、このプログラムにかける想いだ。

当たり前だけど、誰かの役割を演じるために、必ずしも留職のような大きな仕掛けが必要なわけではない。

幼稚園や学校のPTAで役職を担うことや、NPOやNGOの活動にボランティアとして参加してみることでもいい。あるいは、僕がやったような「1日保育士」というのもけっこオススメだ。どんなに小さなことでもいいから、誰かの役割を演じて違う世界を見ることで、きっと物事の捉え方は少しずつ変わっていくはずだ。

もちろん、演じることですべてわかるなんてことはないし、平田さんも書いているように、人と人なんてどうせわかりあえない。でも、それでも諦めずに少しでも誰かのことをわかりあおうとする努力を続けていけば、社会の分断という状況も少しずつ変わっていくと僕は信じたい。

・・・と、徒然なるままに書いたものの、要するに、「あー1日保育士やってよかったー」ということです。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
    ☆ Amazonランキング キャリアデザイン部門ベストセラー1位を獲得
    ☆ ハーバード・ビジネス・レビュー読者が選ぶベスト経営書2016 年間17位

もう世界は辺境から変わっている

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先週は日本企業のエグゼクティブの皆さんと一緒にインドを訪れ、ムンバイとバンガロールを1週間かけて回ってきた。

社会的企業(社会課題を解決するというミッションを持った企業)を中心に、7団体とのディスカッションを行うとともに、スラム・農村・ゴミ収集場などといった現場を訪問してきた。プログラムとしての成果はまた別途報告するとして、今回のインド滞在で僕がつかんだ感覚を記憶が新しいうちに書き留めておきたい。

7年前の本が描いた景色が、現実のものに

辺境から世界を変える

個人的にも親交のある加藤徹生さんが2011年に書かれた『辺境から世界を変える』(ダイヤモンド社)という名著がある。発展途上国の辺境地域から、社会課題に当事者性を持つ起業家たちがこれから世界を変えていくであろうというメッセージが、事例とともに力強く紹介されている。

7年前にこの本を読んだ時には、その斬新な世の中の切り取り方に興奮を覚えながらも、「たしかにそうなっていく可能性もあるかもな」という程度の感覚だったことを覚えている。

あれから7年。今回一気にインドで7団体と対話をするという貴重な経験をしてみて、あの本が示唆していた未来はすでにやってきていて、「もう世界は辺境から変わっている」ということを実感したというのが、今回の訪問での一番の感想だ。

遠隔診療がインド農村部の医療サービスを革新

今回訪問したすべての団体を紹介することはできないが、たとえばNeurosynaptic社。医療へのアクセスが難しい地域に住む人たちに対し、テクノロジーを駆使した遠隔診療で適正な医療を提供することに2002年から取り組んでいる社会的企業だ。

これまでに2,200人のヘルスワーカー(医師ではない)を組織し、辺境地域に住む5,000万人もの人たちに対して遠隔での医療サービスを提供してきている。ヘルスワーカーが携帯する専門キットには35種類の診断ツールが入っており、24種類もの診断行為が可能だ。

これによって、村落部に住む人たちはわざわざ遠い病院に行かなくても質の高い医療が受けられる。それだけでなく、病院の側にとっても高い投資をして分院を出さなくても幅広い人々に対して医療サービスを提供できる。また、診療データはすべてクラウド上に蓄積されて分析することができるので、病院としてそのデータを活用して更に医療の質を高めることが可能だ。

ちなみに今回はデモも体験させてもらったが、患者の心音や心拍数をリアルタイムで確認することができるなど、まるでSFの世界にいるかのような気分になるほどだった。

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↑CEOのSameer氏が実演した肺活量検査の様子。遠隔でリアルタイムにスマホにグラフが表示される


やはり驚くべきなのは、この最先端のテクノロジーを活用したサービスが、インド人の起業家の手により、インド農村部の人たちに幅広く届けられているという事実だろう。今回一緒に訪問した日本企業のエグゼクティブたちも、彼らの取り組む事業のあまりの先進性に、何度も感嘆の声が漏れてくるほどだった。

僕自身はあまりこの分野に専門性があるわけではないが、これから更に高齢化が進んで医療アクセスの困難さが社会課題となる日本でも、Neurosynaptic社が提供するような技術は必要とされてくるはずだ。莫大なニーズがあり、また規制も日本ほどに強くはない発展途上国の「辺境」から生まれたイノベーションが、日本の社会課題を解決するようになる日はきっと遠くないはずだ。

第4次産業革命が発展途上国の現場に味方している

2011年の創業以来、クロスフィールズはアジア各国の社会的企業とさまざまな協働をさせてもらっているが、特にここ数年のインドの社会的企業の発展は目覚ましいものがある。

今回はNeurosynaptic社の他にも、さまざまな起業家がイノベーションを起しつつある現場に足を運んできた。IoTを駆使して乳業分野に革命を起している社会的企業や、ゴミ処理からクリーンエネルギーを生み出そうとしている社会的企業など、どれも驚かされるものばかりだ。

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↑IoTのウェアラブルデバイスが付いた牛は、いつ妊娠して搾乳が可能になるかクラウド上で管理できる

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↑スラム地域や集合住宅のゴミ捨て場で、その場でバイオガスを発生させている


共通していたのは、まだ日本ほどビジネス上の仕組みやインフラがしっかりとしていないところに、部分的に最先端のテクノロジーが組み込まれていることだ。そして、そこから産業構造や社会構造を変えるような大きな変革が生み出されつつある。

完全に私見だが、やはり第4次産業革命なるものが、この急速な変化の土台にあるように思う。

IoTやAIといった第4次産業革命時代のテクノロジーには、大規模な設備投資を必要としないという側面がある。つまり、発展途上国の辺境の起業家たちにも、最先端の技術を活用するチャンスが一気にめぐってきていると考えられないだろうか。

インドのモディ首相はそのことをすごく分かっていて、様々な政策を通じて社会的企業が各地でイノベーションを起こすための手助けをしている。多くの起業家たちが政府の後押しを受けながら、辺境の地で最先端のテクノロジーを活用して社会課題を次々と解決しようとしているのだ。

整いつつある、社会課題をビジネスにするエコシステム

そして、もう1つ。こうした社会課題解決のエコシステムが出来上がりつつあるということも大きい。

今回訪問させてもらったAavishkaarは、社会的企業に特化して投資を行うベンチャーキャピタルだ。既に300億円規模のファンドを集め、20社以上のエグジットに成功しており、利回りも脅威の122%を誇っているという。僕が6年前に訪れたときには全くこんな規模ではなかったが、もはや社会課題を解決するという行為自体が、インドでは産業として成り立ってきているということだろう。

また、ムンバイにあるTata Institute of Social Sciencesでは社会起業家に特化した修士号のコースが開設されるなど、この分野での人材育成も一気に進みつつある。こうした動きに政府による後押しも加わって、社会課題解決型のビジネスが生まれて育っていく仕組みが一気に整備されてきているのだ。

辺境からこそイノベーションが生まれる時代に

イノベーションとは、研究開発の拠点を持つ先進国で生まれるものであり、途上国ではその廉価版のサービスや製品が広がっていくというのが、これまでの世界の流れだった。

でも、これからその流れは徐々に、でも確実に逆転していくように思う。

さまざまなインフラが整っておらず、明確な社会的ニーズがある辺境地域においてこそ、第4次産業革命時代のテクノロジーは威力を発揮する。そして、そんな「辺境」からこそ、イノベーションが生まれていくのだ。

発展途上国や農村部といった今日的な「辺境」が世界の中心となり、先進国や都市部といった地域こそが「辺境」になっていくような未来の世界が、もうそこまで来ている。


発展途上国の社会的企業と日本企業をつなぐ役割を持つクロスフィールズは、これからの時代にいったいどんな価値を発揮できるのか。そのことを、これからゆっくりと考えていきたい。(とはいえゆっくりもしていられない気がするけれど…)

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
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充実した1年を終え、2018年は次なるステージへ

皆さま、新年明けましておめでとうございます。

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(写真は働きはじめの1月4日に目黒不動尊を初詣したときのもの)

年明け早々すごく大事な局面があったこともあり、3連休を使って、ようやく落ち着いて2017年の振り返りができた。

創業して7回目の正月を迎えて初めて言える気がするけれど、この1年は仲間たちの支えのおかげで、まさに「充実した年」だったと胸を張ることができる。

振り返ってみると、2017年のはじめは主に事業面でかなり危機感を募らせているような不安定な状況だった。一歩舵取りを間違えたら、文字通り船が転覆していてもおかしくなかった。ただ、その状況でも、個人としては「攻」という漢字を掲げ、守りに入らずに結構な攻め手を打ち切ったことが、まさに功を奏す形となった。

去年やったことは、主にこんな感じ。この3年くらい、ずっと手を付けようと思っては頓挫していたことが、一気に動いたという感覚だ。

1.チーム全体での議論を経て、NPOにとっては憲法とも言えるミッションをガラッと刷新
 (新ミッションは「枠を超えて橋をかけ 挑戦に伴走し 社会の未来を切り拓く」とした)
2.チームメンバーの既存事業に対する責任領域を拡大し、権限委譲を加速。結果として、僕以外の幹部メンバーが中心となる形で、旗艦事業である「留職」の力強い再成長が実現
3.新規事業に僕も含む数人が思い切りコミットし、新事業「フィールドスタディ」を一気にドライブ
 (フィールドスタディの新展開について年末に出したリリースはこちら
4.団体内の「働き方」や「評価制度」について、メンバーと対話を重ねながらスピード感を持って施策を着実に実行

信頼する仲間たちと力を合わせて充実した1年を過ごすことができ、チームとしても僕個人としても、すごく成長を感じることができた。いつも支え合っている仲間たちには、本当に感謝の気持ちしかない。

また、少し自分自身に焦点を当てても、グローバルでのソーシャルセクターのトレンドに触れる機会を得たり、英語での3時間講義に挑戦したり、また、レバノンに渡航してシリア時代の友人と7年ぶりの再会を果たしたりと、以前からやりたかったことを着実に実行に移せた年だった。(ちなみに地味に引っ越しもして、前から住みたかったエリアに移り住んだりもした)


と、そんな充実した2017年を終え、2018年はどんな1年にしていきたいか。一言で言えば、チームとしても個人としても「次のステージ」に進む年にしたいと思っている。

クロスフィールズについて言えば、2つある。

まずは、組織面。去年までに築いてきた「いいチーム」を「強くていいチーム」へとレベルアップさせていきたい。ただ優しく支え合うだけでなく、厳しいことも指摘しあって互いを高められるような、そんなチームを創りたい。そのためにいくつかの仕組みも作っていくし、組織体制も更に強固にして、「クロスフィールズ2.0」と言えるようなバージョンアップを図っていきたい。

事業面では、一気に忙しさを増していく局面をチーム一丸となって乗り越えていくことが最も大切なことだ。その上で、今後中期的にどうやって社会を変えていくのか、その方向性を、改めて本腰を入れて模索していきたい。まだ方向性は見えきっていないが、チームメンバーと議論しながら、じっくりと「次のステージ」を探っていきたい。

それから個人としても、事業に全力投球しつつ、今年は1つの挑戦をしてみたいと思っている。

まだ確定していないので名言は避けるけれど、7年間のあいだ目の前の事業だけを見て走り続けてきた自分を、少し違う角度から成長させるようなことを始める予定だ。これによって、個人としても「次のステージ」に進みたいと思っている。そのためには、日々の時間の使い方に今まで以上に注意をする必要がある。心身の健康を崩さないことを前提に、更なる高みを目指していきたい。


ちなみに、こちらは恒例となりつつあるクロスフィールズの新春書初め大会の模様。今年は過去にクロスフィールズを卒業したメンバーたちも集まってくれて、大いに盛り上がりました。

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僕が選んだ今年の漢字は、「信」。次のステージに進むためには、仲間を信じ、自分自身を信じて、そして、クロスフィールズというチームの可能性を信じることが一番大切だと思い、この文字を選びました。

というわけで、今年も元気に走り抜けていこうと思っているので、皆さまどうぞよろしくお願いします!

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
※ 2016年9月2日(金)に初の著書が発売になりました。
   『働く意義の見つけ方―仕事を「志事」にする流儀』(ダイヤモンド社)
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戦火のシリアに暮らす「第2の家族」との7年ぶりの再会

3泊4日のレバノンでの滞在を終え、いまは日本へと向かう飛行機のなかにいる。前回の記事でも書かせてもらったけれど、今回の訪問の目的は、シリアに住む「第2の家族」とも呼べる友人Nと7年ぶりに会って話をすることだった。

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↑レバノンを訪れるのは今回が3回目だけど、いつ来ても本当に美しい街だ


そして、色々な方からのサポートがあり、今回、無事に友人との念願の再会を果たすことができた。なんと運良く初日から合流することができ、幸せなことに、丸3日間、一緒に時間を過ごしてくることができた。

本当に、友人Nはよく来てくれたと思う。彼はいくつかの検問をくぐり抜け、国境を超えてレバノンまで訪ねてくれた。正直なところ、彼が来る確率は1-2割くらいだと思っていたので、こうして再会が実現したことは本当に嬉しかった。「いま向かっているよ」というメールが届いたときには、僕の心臓は思い切り高鳴り、久々に、自然と涙が出てきた。

再会の直前、この数年間待ち望んでいた瞬間の実現に、僕の気持ちは高ぶりきっていた。でも、いざ会ってみると、それは意外なほどにあっけないものだった。抱き合って二人で号泣するのかなと妄想していたけれど、最初に会ったときも、さっきまた別れを告げたときにも、特に涙もなかった。7年ぶりに時間を過ごしているとは思えない、ごく自然な再会になった。

この3日間、僕らはただただ一緒に過ごした。朝飯から晩飯まで一緒にメシを食べ、僕の泊まっていたホテルのダブルベッドに一緒に寝た(本当に来ると思ってなかったことがここで友人Nにもバレた)。首都ベイルートの街をブラブラと散策したり、近郊の街まで小旅行をしたりしながら、バカ話も含めて、沢山の話をした。

12年前に僕が青年海外協力隊としてシリアで過ごしていた時と同じような空気が、そこには流れていた。違ったのは、お互いに少し歳をとったことと、僕のアラビア語が相当に劣化していたことくらいだ。感覚としては、久々に実家に里帰りをして両親と時間を過ごしたような、そんな気分だ。なんだか拍子抜けするくらいに、穏やかな時間だった。


こうして丸3日間を彼と過ごしてみて思うのは、やはり今回思い切ってレバノンに来て良かったということだ。

いまから3年ほど前から、僕は友人Nに対して国際送金で仕送りを続けてきた。このサポートは必要なことではあったものの、一体そのことが彼とその家族にどんな影響を与えていて、僕たちの友人関係にどんな影響を及ぼしているのか、正直、とても不安だった。

でも、今回彼と色々な話をしてみて、これまで僕がやってきたことは間違っていなかったと思うことができた。当たり前ではあるのだけど、僕と彼とは「支援者」と「支援される者」である前に、明確に「大切な友人」だった。今回一緒にいても、彼との間に上下関係とか、「支援してあげている」という気持ちとかを感じることは、ただの一度もなかった。そこにあったのは、9000キロというもの凄い距離を隔てながらも築くことができた、人生でも最も大事だと思える唯一無二の友人関係だった。

もちろん、仕送りの話題にもなった。そのときに彼が言ってくれたのは、「本当にいつもありがとう。でも、こんなこともあったわけだから、きっとお互いが死んでからも子どもたちが僕たちの関係のことをずっと語り継ぐことになるだろうね」という言葉だった。

いま友人Nと彼の家族の生活をサポートしているということは、僕の人生のなかでも最も尊い行動をする機会をもらえているということなんだと感じた。純粋にそのことに対する感謝の気持ちで胸がいっぱいになったし、幸せを感じた。そして、今回仕送りをするようになったことで、僕たちの友人としての絆はさらに強固になったことを、胸の奥の方でグッと感じすることができた。

今回直接会って話をしてみて、僕の心の奥に引っかかっていたものがスーッと消えていくかのようだった。

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↑レバノンの首都ベイルートのモスクにて友人Nと。


そして、もう一つ。やはりどうしても書いておきたいことがある。

戦争についてだ。

6年半もの期間を戦火のなかで暮らしてきた友人が僕に繰り返し伝えてくれたのは、「戦争の愚かさ」と「平和への渇望」だった。

6歳になる友人Nの長男は、とても利発で元気な男の子だが、なにか大きな音がすると恐怖に怯えてしまう。血相を変えて走り回って、しばらくすると毛布にくるまってしばらく出てこれなくなってしまう。戦闘機が飛んでくる音や爆撃の音を嫌というほど聞いて、大きな音に対して過度な反応をするようになってしまったのだ。

友人Nの親戚の青年は、紛争が起きてすぐに13歳でレバノンに出稼ぎでやって来た。狭い部屋に他のシリア人の若者たちと暮らしながら、週6回の勤務で朝4時から朝9時まで八百屋で働き続けている。そして、生活費も切り詰めながら何とか捻出したお金をシリアに住む家族へと仕送りをしている。帰国すると徴兵されてしまう危険性があり、この間、一度もシリアには帰っていない。シリア人にとって、生まれ故郷や家族と離れて生活をするというのは、最も過酷なことだ。そんな日々が6年半も続いている。

そして、将来に対する不安も大きい。仮に紛争が落ち着いたとしても、シリア国中に広く行き渡っている武器や弾薬をどのように根絶していくかには、全く道筋が立っていない。当然のことだが、武器があれば何かしらの暴力が続いてしまう可能性は高い。このことが、友人Nにとっては将来に向けた最大の心配事なのだそうだ。

「いま、シリアに住むすべての人たちは、紛争の終結を心から願っているんだ」

はじめは「政府寄り」「反体制派寄り」等といったスタンスの違いで、シリア人たちも一枚岩にはなれていなかった。でも、いまは違う。6年半という途方もない期間を戦火のもとで過ごした人々は、もはや戦争というものに対して辟易としているのだ。

「もはや誰がこの国を収めることになってもいい。誰もが、暴力と戦争とに疲れている。このバカげたことを終わらせることだけが、僕たち全員の願いなんだ。2017年を、この戦争の最後の年にしなきゃいけない」

そう語っていたときの、友人Nの珍しいほどの力強い口調を僕は忘れることができない。

+++

前回と今回の、長々とした冗長でナイーブな文章を最後まで読んでくださった方には、感謝しかない。そしてコメントや個別のメッセージをくれた方にも、心から御礼を伝えたい。周りの人たちに少しでも関心を持ってもらえて嬉しかったし、応援してもらえたことは本当に心強かった。また、個別に厳しいことを指摘してくれた友人もいて、そういう声には色々な気づきを頂いた。改めて、こうして行動したり発信することは大事だと感じさせてもらった。

最後に、もしも今回のことでシリアをめぐる情勢に興味を持ってくれた人がいたとしたら、以下も参考にしてもらえたらと思う。(情報を提供してくださった方、本当にありがとうございます!)

1.BS1 国際報道2017 シリア最新情勢~未来の“復興”に向けた支援を~
9/26(火)の夜22時からの上の番組で、シリア最新情勢の特集があります。国連開発計画(UNDP)のシリア事務所の副所長を務めている須崎彰子さんがスタジオ出演するとのこと。現地での最新の生の情報が分かるはずです。

2.青山弘之著 『シリア情勢:終わらない人道危機』(岩波書店、2017年)
中東専門家である東京外国語大学の青山先生の本は、シリア情勢を包括的に理解する上ですごく参考になります。僕も先生の本は何冊か読んでいますが、どれもとても分かりやすいし、先生のシリアへの愛が伝わってきます。

3.シリアのためにできることリスト
ちょっと古いのですが、3年前に僕がまとめた「日本からシリアのためにできること」のリストになります。何かの参考になったら幸いです。

4.映画 『この世界の片隅に』
完全なる主観ですが、おそらくいまシリアで起きていることと、シリアの人たちの生活というのは、この映画で描かれている戦時中の日本人の姿とすごく近いのではと思います。ちょうどDVD化もされたタイミングなので、この映画をご覧になりながら、シリア情勢や戦争について考えてみてはいかがでしょうか。


明日からは、クロスフィールズの業務に戻ります!
不在中ご迷惑をかけた方々、申し訳ありませんでした。

NPO法人クロスフィールズ
小沼大地(@daichi0715

※ 当記事はNPO法人クロスフィールズ代表小沼の個人的著述です。
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